はやぶさ2 再突入カプセル地球帰還取材(4) 再突入カプセル帰還後記者会見

 2020年12月6日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は小惑星探査機「はやぶさ2」の地球帰還について記者会見を開催した。

帰還報告をするJAXA 理事長 山川 宏

 まず、JAXA理事長 山川 宏(やまかわ ひろし)より帰還報告が行われた。内容を要約すると

 『はやぶさ2は帰還カプセルを前日の14:30に探査機本体より切離し、5分後の14:35に分離が確認された。探査機は地球対比軌道変更を行い新たな目標に旅立った。
 帰還カプセルは本日02:28に再突入し着陸。現地回収班は着地点をビーコン信号で特定しヘリコプターで捜索、04:47にカプセルを発見し08;03にウーメラ基地に回収。
 回収された帰還カプセル内にはリュウグウのサンプルからにじみ出たわずかなガスが含まれている可能性があるため現地ウーメラでガス採取を行っている。その後帰還カプセルはウーメラより輸送機で出発し今後日本に到着する見込み。』

 最後に、豪州政府関係機関の支援と、これまで協力、応援をいただいた国内外の全ての関係へ感謝の意を伝えた。

オーストラリア政府からの謝意を伝える駐日オーストラリア大使 Jan Adams

 続いて、駐日オーストラリア大使 Jan Adams(ジャン アダムス)からミッションの成功を祝福する言葉が送られた。また「宇宙に関する日豪協力の長い歴史において、これは最近の画期的な出来事といえます。両国は産業や研究、科学協力を通じて多くを得ることができます。」とコメントした。

 第1部最後にフォトセッションが行われ、山川理事長とAdams大使は退席となった。

JAXA はやぶさ2プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ 津田 雄一(左)
駐日オーストラリア大使 Jan Adams(中央左)
JAXA 理事長 山川 宏(中央右)
JAXA 宇宙科学研究所 所長 國中 均(右)

 続いて第2部。登壇者はJAXA 宇宙科学研究所 所長 國中 均(くになか ひとし)、JAXA はやぶさ2プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ 津田 雄一(つだ ゆういち)の2名が引き続いて登壇。

カプセル分離・帰還報告をするJAXA 宇宙科学研究所 所長 國中 均

 まず、國中所長は「ようやく念願の夢がかないまして、本日はやぶさ2カプセルはオーストラリアに無事に帰還することができました。」とコメント。
 続けて「はやぶさ2に関しては、その前身のはやぶさ1と異なり、完全にコントロールされたミッションを完遂できたというふうに思っております。まさにエンジニアリング冥利に尽きるというふうに考えております。この勢いを借り、次の、今現在開発中のMMX、DESTINY+、それから現運用中のBepiColombo「みお」、JUICE、Dragonflyという、困難なミッションに引き続き挑戦していきたいと思っているので、引き続き応援をよろしくお願いします。」と述べた。

探査機運用結果報告をするプロジェクトマネージャ 津田 雄一

 続いて、津田プロジェクトマネージャーから現在のはやぶさ2運用状況の報告があった。

 冒頭「私たちは玉手箱を舞い下ろすことができました」と帰還カプセルが無事に着陸したことを報告。ミッションとしては、再突入カプセル分離運用が予定どおり実行することができ、再突入カプセル、パラシュート、ヒートシールド、全て回収が完了。探査機は地球圏離脱運用が行われ、こちらも問題なく完了しているとのこと。
 現地ではカプセル内部のガスを抜き取り分析を行い、その後チャーター機で日本に輸送されるが、まだ細かい日程は未定とのことで続報を待ちたい。

帰還完了で両目が入っただるまを持つ津田プロジェクトマネージャー

 はやぶさ2のミッションの点数を聞かれ「100点満点でいうと1万点」と答えたとおりミッションは大成功だったいえる。今後については「はやぶさ2には、最初から最後まで関わってきて、どう開発したからどういう探査ができたという一連の流れが私なりに確固としたものができた。この経験を活かしてJAXAの中で別のミッションを考えていきたい」と新たなチャレンジへの気持ちを述べた。

 カプセルは早ければ2日後に日本へ到着し開封作業へと移っていく。早ければ12月中旬にも試料について発表ができるとのこと。はやぶさ2プロジェクトの目的は、小惑星から試料を持ち帰り分析すること。今後の発表に期待したい。

(文:岡澤知行)