2019年3月5日の記者会見において、2019年2月22日に行われた、「はやぶさ2」の小惑星リュウグウ第1回タッチダウンの際の画像がJAXAから公開された。
これはCAM-Hという、「サンプラホーンが伸展されたか見るため」という建前のカメラで撮影されたものだ。
このカメラは、一般からの寄付金によって製作・搭載された。私もJAXAの募金箱にいくらか投じた記憶があるが、そうした少しずつの応援が結実したものだ。(建前としては「サンプラホーンが伸展されたか見るため」であったが、こうした画像が取得できることも意図していたのではないか、と思えるほどの映像だった。)
公開された画像を初めて見た瞬間、息を呑んだ。降下・タッチダウンそして上昇という一連の流れがとても鮮明に捉えられていたからだ。
記者会見場では、記者が皆はっと息を呑んだ。一瞬の静寂の後に漏れる感嘆の声。素晴らしい成果だというのが一目で分かる。
タッチダウンの意義については、既に多くのメディアが報じているとおりであるから、ここでは述べない。
そこで今回は、動画の見どころを解説することにした。
まず元動画を紹介し、次いでキャプチャ画像をもとに説明する。キャプチャ元はJAXAのyoutubeチャンネルで公開されている。
元動画:
タッチダウンの精度は誤差1m。素晴らしい精度であった。タッチダウン地点中央には「三途岩」との愛称がある岩があり、この上に乗り上げるともしかしたらサンプルが充分に採れないかも知れない、と危惧されていた。しかし偶然にもこの岩をすれすれでかわし、「はやぶさ2」は砂塵を上げて再び宇宙ヘと舞い戻った。
弾丸(プロジェクタイル)発射も無事に行われていたことが確認された。サンプラホーンの変形、機体姿勢の変化など、いくつかのトリガ条件を設定していたが、今回は姿勢変化をトリガにしての発射となった。
当初の予定ではタッチダウンは3回を予定していたが、「リュウグウが牙を剥いた」ことによってスケジュールは遅れており、2回になる可能性が非常に強いとのこと。
次回の大きなイベントは、2019年4月第1週に予定されるインパクタ投下運用(SCI運用)である。小惑星に自己鍛造弾を撃ち込んでクレータをうがつという内容だ。基本的には第2回タッチダウンはこのクレータ内、もしくはその周辺に行う予定だが、表面の状態がどうなるか次第で、全く別の場所に降りる可能性もあるとのこと。
クレータ生成の瞬間には、危険を避けるため「はやぶさ2」本体は小惑星の影に避難する。その様子は、事前に機体から小型分離カメラ(DCAM3)を放ち、リモート撮影する予定である。
どのような姿が見られるのだろうか。非常に楽しみである。
(記事:金木利憲)