H-IIB 7号機/こうのとり7号機打ち上げ 現地レポート(9月13日)

9月10日より、H-IIB 7号機/こうのとり7号機打ち上げの取材のため、東京とびもの学会取材班が現地入りしています。レポートが届きましたので掲載します。

今回打ち上げる機体については、

【レポート】H-IIBロケット7号機コア機体公開(2018年7月24日)

にて報道公開時の様子を掲載しています。(以上、編集部注)


打ち上げ延期の状況

H-IIBロケット7号機は、当初2018年9月11日午前7時32分ごろ(以下時刻は日本時間で表す)に、種子島宇宙センターから打ち上げられる予定でした。H-IIB 7号機には、ISS(国際宇宙ステーション)に物資を輸送するHTV-7(こうのとり7号機)が搭載されています。

以下、JAXA/三菱重工業株式会社(以下MHI)からの発表と現地の気象を時系列で掲載します。

9日14時に、ロケットの追跡・管制を行うグアム局の天候が悪化するとのことで、期限を示さない形で延期されました。
このときグアム局には台風22号が接近、通過する予報となっています。また種子島も大雨・雷のおそれがありました。

10日の天候判断会議でも、種子島の天候悪化のため打ち上げ日を設定せずに延期しています。
取材班も朝に種子島に渡りました。種子島の天候はくもり。降水はありませんでした。

11日14時、打ち上げ日が14日に設定されました。打ち上げ時刻は午前6時20分ごろとなっています。ISSとの位置の関係により、一日遅れると打ち上げ時刻が20分ほど早まるためです。
この日は時折非常に強い雨が降り、そして落雷も発生しました。SNSでの情報では、宇宙センター敷地内に落雷したとも伝えられています。

12日15時、13-14日の天候悪化が見込まれるため、打ち上げ日は一日繰り延べられて15日午前6時ごろの打ち上げとなりました。予報では大雨・雷は問題ないとされましたが、昨日の急激に降る雨と雷を受けて、万が一を考えての判断だと思われます。
なお15日の打ち上げも、予報では14日とあまり気象条件が変わりません。今後も打ち上げ日の順延の可能性があります。
この日も雨の続く、ぐずついた天気となりました。

13日、打ち上げ時刻が15日午前5時59分14秒に決定されました。現地は雲量が多いものの晴れています。降水もありません。

なおとびもの学会取材班は15日の打ち上げまでは滞在する予定となっています。ただし船便の関係で打ち上げ後ブリーフィングに立ち会うことが難しいため、こちらの取材は立ち会わない予定です。
また13日21時~、宇宙センター発島間港行の、「大型機器」(イプシロン第1段?)の陸送も見学する予定となっています。(こちらは中止となったようです)
延期が続きましたが、H-IIB7号機の成功、「こうのとり7号」のISSへの無事の到着を願ってやみません。

「こうのとり7号機」のミッションについて

こうのとり7号機は全長10m、直径4.4m、打ち上げ時の重量が16.6トンの大型の補給機です。
主な輸送品目は以下の通りとなります。

1)リチウムイオンバッテリー
老朽化したISSのバッテリーを新品と交換します。6号機から9号機まで6台ずつ、計24台の電池を輸送します。リチウムイオン電池は日本製この置き換え後はISSの運用終了まで使用しれる見込みとなっています。
2)大型実験ラック
ISSで実施する実験機器は、大型の冷蔵庫ほどの大きさもあります。2018年夏現在、この実験ラックを輸送できるのは「こうのとり」のみです。小型の実験ラックを取り付けるためのExpressラック(アメリカ)が2台、生命科学系の実験ラック(アメリカ)が1台、生命維持装置(ヨーロッパ)が1台の計4台が搭載されます。一度に輸送する量としては過去最大です。
3)小型衛星放出
日本実験棟から小型衛星を放出する実験を行います。九州工業大学とシンガポール南洋理工大学の「SPATIUM-I」、リーマンサットスペーシズの「RSP-00」、静岡大学の「STARS-Me」の3機が「こうのとり7号」に搭載され、ISSから放出されます。
4)小型回収カプセル
「こうのとり」初の試みとして、回収カプセルを用いて地上に試料を落下・回収させる実証実験です。
「こうのとり」はISSに物資を輸送した後、不用品(ゴミ)を詰めて地球に落下、燃焼させて処分します。このカプセルでは、質量20kg、体積30lの試料を地上に帰還させることができます。7号機では、無重量下で生成したたんぱく質の結晶5kgを回収する予定です。

他、高機能な冷却システムの実証実験機器や、宇宙飛行士の生存・生活に欠かせない食料・日用品など、「こうのとり7号」は計6.2トンの物資をISSに輸送します。

(記事:村上貴広)