東京とびもの学会では、アリアン5(VA245)/水星探査機ベピ・コロンボ(BepiColombo)の打上げに取材班を派遣している。取材申請はJAXAを日本窓口として、フランス国立宇宙センター(CNES)、欧州宇宙機関(ESA)に対して行った。
このレポートでは、打ち上げとギアナ宇宙センター(CSG:Centre Spatial Guyanais)の様子をお届けしたく思う。情報はこのサイトの他、Twitterでも発信している。
東京とびもの学会 @TobimonoGakkai
(記者 金木犀 @kin_mokusei、しないつぐみ @tsugumi_shinai)
レポートの日付はギアナ現地時間で区切るので、日本時間とは-12時間(日本の午後12時=ギアナの午前0時)の時差がある。
1.ベピ・コロンボ計画
国際水星探査計画BepiColombo(ベピコロンボ)は、ESAとJAXAの共同で、観測目的に合わせた「2つの周回探査機」を水星周回軌道に送り込んで水星を観測する計画だ。水星の磁場・磁気圏の観測を行う水星磁気圏探査機「みお」(MMO)と、水星の表面・内部の観測を行う水星表面探査機(Mercury Planetary Orbiter:MPO)から構成されている。
打上予定日時:
2018年10月20日(土)10時45分28秒(日本時間)
2018年10月19日(金)22時45分28秒(フランス領ギアナ現地時間)
2.ギアナ宇宙センターの概要
ギアナは南米大陸、ブラジルの北隣にあるフランスの海外県である。赤道に近く静止衛星の打ち上げに有利なことから、1968年、クールーにフランスの衛星打ち上げ場が開設された。
ESAは1975年の創立以来ここを使用している。そのため、敷地やインフラはCNESの管轄、建物の多くはESAの管轄となっている。
赤道に近いと書いたが、どのくらい近いかというと北緯5度、赤道からおよそ500kmである。
3.フライト番号
今回ベピ・コロンボを打ち上げるアリアンVはフライト番号VA245。かつてはアリアンロケットのみだったのでVxxx(xは連番)で表記されていたが、現在はソユーズとヴェガも打ち上げているので、アリアンのAを付してVAとなった。
VAxxx:アリアンロケット
VSxxx:ソユーズロケット
VVxxx:ヴェガロケット
4.10月18日のレポート
午前8時にパリのオルリー空港に集合し、エールフランスにてギアナのカイエンヌ空港へ。日本からの取材は、我々2名を含め5名。それにアリアンスペースとJAXAの引率者が付く。フライト時間は約9時間、到着はギアナ時間で14時半ごろだった。
このフライトで、記者(金木)は生まれて初めてユーラシア大陸を脱出し、大西洋を見た。
パリの気温は17度、カイエンヌは30度超、日本の梅雨時ほどではないが湿気が多い。黄熱病注意と希少生物に対する注意を促すポスターが、南米まで来たことを感じさせる。ギアナでは宇宙産業は重要らしく、空港のエントランスの一番いいところに紹介ブースが置かれていた。
カイエンヌからクールーの街を経て宇宙センターまでは車で1時間少々。平日の日中だが車は余りおらず、すいすいと到着。プレスパスを受け取り、ホテルにチェックイン。
しばらく休憩した後、街中のレストランで夕食となった。(今回のプレスツアーでは、食事は全てアリアン側でセッティングされている)
我々だけかと思いきや、ESAの広報部長などがフランクに現れて非常に驚く。記者(金木)との会話で最も印象に残ったのは、
「ベピ・コロンボは7年にわたる長期ミッションであるが、いかにして一般の興味を持続させるか。あなたはどう思う?」
というものだった。
これについては日本の事例を元に、私見ではあるがと断って
「日本では、物語と感動が重要である。探査機そのもののストーリーや、キャラクタナイズして探査機自身に語らせることで感情移入でき、それを好む人が多いように見える」
という趣旨の答えを返した。
「ベピ・コロンボの航海は7年、初代はやぶさの航海も7年、ラッキー7です」
と付け加えながら。
食後はそのままホテルに戻り、泥のように眠った。
(記事:金木利憲)