【レポート】SS-520 5号機 打ち上げ取材 (2018年2月2日)

会見を行う羽生宏人(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 准教授)

観測ロケットSS-520 5号機の打ち上げが2018年2月3日に行われました。当会では、前日の2月2日に行われた記者会見から取材を行いました。

まずは、内之浦宇宙空間観測所の記者会見場にて羽生宏人(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 准教授)SS-520 5号機プロジェクトマネージャーより、打ち上げ内容・実験の説明が行われた。

基本的に機体構成は昨年失敗した4号機と同じだが、不具合があった部分に関しては対策を行い万全であるとのこと。また、搭載される衛星も同型の『TRICOM-1R』で、近地点高度180km、遠地点高度1500kmの長楕円軌道への投入を目標とすることも変更はなく、成功すれば世界最小クラスのロケットによる超小型衛星の軌道投入となる。

羽生准教授は「これまでにさまざまな試験を行い、ひとつひ確認し慎重に前進してきた。リハーサルでも機体に異常は起きておらず、このロケットについては、しっかりしたものができていると考えている」と、意気込みを語った。

SS-520 5号機

記者会見後はSS-520 5号機の機体公開となり、打ち上げ場所であるKS台地へ移動しての撮影となりました。

観測ロケットSS-520は固体燃料の2段式ロケットで、本来は衛星打ち上げ用ではなく上層大気の研究や低重力下での新規技術実証などに利用するのですが、前回の4号機とこの5号機には新規開発の第3段を追加し、衛星を打ち上げる能力を持たせています。JAXAの資料によると、地球低軌道に4kg程度の人工物を投入することが可能となっています。

開発当時から言われていた『SS-520に3段目を追加すれば衛星打ち上げられる』という宇宙研都市伝説を実証するためにも今回の打ち上げは成功してほしいものです。

SS-520 5号機を前にインタビューを受ける羽生准教授

公開された機体は、まだ所々保護シートに覆われたままで今回改修になった部分をよく見ることはできませんが、現役観測ロケットとしては最大規模となるSS-520を間近で見られる貴重な機会となりました。

その後、SS-520 5号機を前にして羽生准教授のインタビューが行われましたが、明日の打ち上げに向けた並々ならぬ気力に満ちていました。

本日の報道公開はこれで終了となり、明日の打ち上げを残すのみとなります。